私感で選ぶ、翻訳したXKCDコミックのベスト10話(2012年)
この記事は、「私感で選ぶ、翻訳したXKCDコミックのベスト10話(2011年)」の続きです。前記事で書いた通り、本記事では、これまでに翻訳してきたXKCDの中から、2012年分のコミックベスト10話を掲載します。
本家XKCDは以下よりどうぞ。
このランキングの選考基準はおおよそ以下の通りですが、基本的には僕の私感です。
- 奥深いもの
- 単純に笑えるもの
- XKCDっぽいなぁとしみじみ感じるもの
- ツイート数、もしくは、はてなブックマーク数が多いもの
前記事でも書きましたが、僕のネット生命の続く限りXKCD翻訳は続けていきますので、今後とも末永くよろしくです。
10位: Ablogalypse(ア「ブロガ」リプス)
©xkcd.com Creative Commons Attribution-NonCommercial 2.5 License
Ablogalypse(ア「ブロガ」リプス)
Google trends search volume
(Googleトレンドの検索数)In about six months, the word "Tumblr" will eclipse "Blog" in google popularity.
(およそ6ヵ月後に、「Tumblr」と言う言葉は、グーグルの人気上、「Blog」を凌ぎます。)I doubt TV anchors will start talking about "reactions in the Tumblverse", but then again, I still can't believe we got them to say "Blogosphere".
(僕は、ニュースキャスターが「Tumblverseの反応」について話し始める事に疑いを感じている。でも、そしてまた、僕らが彼らに「ブロゴスフィア」と言わせたことがまだ信じられないでいる。)Alt-text: Plus the reaction in the Tumblverse is always 'repeatedly get hit by a dog and fall down the stairs'.
(加えて、「Tumblverse」への反応は、いつも、「繰り返し犬と衝突し、階段から落ちる」だ。)
「blog」と言う言葉の終末を示唆するグラフ系のコミック。グラフのみで表現されるコミックネタは結構多いです。
9位: Felidae(ネコ科)
Felidae(ネコ科)
[Well-known felines:](よく知られているネコ科動物:)
縦軸: Genuses in order of which would win in a fight
(戦いの中で勝ち抜く属)横軸: Species sorted by coolness of name
(名前のかっこ良さで並べた種)[The OS X problem]
(「OS X」の問題点)Alt-text: 'Smilodon fatalis' narrowly edged out 'Tyrannosaurus rex' to win this year's Most Badass Latin Names competition, after edging out 'Dracorex hogwartsia' and 'Stygimoloch spinifer' (meaning 'horned dragon from the river of death') in the semifinals.
(準決勝で『Dracorex hogwartsia』と『Stygimoloch spinifer』(『死の川の角ありドラゴン』を意味する)に勝利した後、『Smilodon fatalis』は、今年の「最悪なラテン語名大会」に勝つため、『Tyrannosaurus rex』に辛勝しました。)
Mac OS Xが抱える、コードネーム命名枯渇問題をチャートで表現したコミック。みんながなんとなく気づいていた問題を分かりやすく図解しています。
8位: Visual Field(視野)
Visual Field(視野)
[Your Central Visual Field]
(あなたの中心視野)Look at the center with your eyes this far from the screen.(You can roll up a sheet of paper and cut it or zoom the page - so it matches this image.)
(スクリーンからこれくらい目を離しつつ、中心を見てください。(紙を切って丸めるか、ページを拡大してください。そうすればちょうど良くなります。)[Detail](詳細)
We only see at high resolution over a small area in the center of our vision where retinal cells are densest(the Fovea).
(私たちは、網膜細胞が最も濃い部分(中心窩)で、ごく狭い範囲の中心部分しか高解像度を見ていません。)If you stare at the center of this chart, your eyes are seeing all these panels at roughly the same level of detail.
(この図の中心を見つめた時、あなたの目は、これら全てのコマを同様の詳細レベルで見ています。)[Color vision:](色覚:)
We don't see much color outside the center of our vision. our brains keep track of what color things are and fill it in for us.
(私たちは、中央の外側の色はそれほど良く見えていません。私たちの脳は、物体がどんな色なのかについて、目線をずらして追いかけ、そのすき間を埋めます。)[Blue-sky sprites](青空のパターン)
These tiny, darting bright spots. visible against smooth blue backgrounds, are white cells moving in the blood vessels over the retina.
(これらの小さく、流れる明るい点は、まっさらな青の背景に対して見えます。これは、網膜の上の血管で動いている白血球です。)[Floaters](飛蚊症)
Some types of floaters are caused by breakdown of your eyeball goop as you age, but this type is some other kind of debris near the retina. I don't know what.
(「飛蚊症」のタイプのいくつは、加齢の為に眼球の機能が衰えることで発生します。しかし、このタイプは、網膜の近くにある、その他の破片みたいなものです。何かは分かりませんけど。)[Night vision](夜間視力)
Cone cells(sharp, central color vision) don't work in low light, but rod cells(monochrome, low-res, non-central) do. This is why you can walk around in dim light, but not read, it's also why you can sopt fainter stars by looking next to them.
(錐体細胞(鮮明、中央の色覚)は、弱い光では働きません。しかし、桿状細胞(モノクロ、低解像度で中心にはない)は、働きます。このことにより、薄暗い光の中を歩き回ることが出来ます。しかし、読むことは出来ません。また、その隣を見ることにより、かすかに光る星たちを見つけることが出来る理由でもあります。)Alt-text: I recently learned something that solved a mystery that had bugged me since childhood--why, when I looked at an analog clock, the hand would sometimes seem to take a couple seconds to start ticking. Google "stopped clock illusion".
(僕は、最近、子供のときから僕を苦しめていたミステリーを解くためのヒントを学びました。僕がアナログ時計を見たとき、なぜ、針は動きはじめるまでに2秒掛かるように見えるのだろうか。「stopped clock illusion」をググれ。)
中央とその外側の視野に関する様々なトリビアを入れ込んだコミック。コミックと言うよりは細かく書き込まれたインフォグラフィックスと言った趣きです。
7位: Lakes and Oceans(湖と海)
Lakes and Oceans(湖と海)
[Depths and animal/ship/boat lengths are to scale; Horizontal distance is not.]
(深さと動物、船、ボートの長さは等しい比率です。水平距離は等しくありません。)Fun fact: The Edmund Fitzgerand, the Kursk, and the lusitania all sank in water shallower than they were long.
(興味深い事実:エドモンド・フィッツジェラルド、クルスクとルシタニアは全て、自分自身の長さよりも浅い水深に沈みました。)Sperm whales dive this deep. They come up covered in wounds and sucker marks, so presumably there are big squid down here?
(マッコウクジラはこの深さまで潜ります。彼らは傷と吸盤跡を負ってやってくるので、おそらく、大きなイカがこの下に居ます。)
...Man, we know nothing about the ocean.
(...ねぇ、海について、僕ら何も知らないよね。)
Kola borehole:Soviet project to try to drill through the earth's crust to the mantle just to see what would happen. Russians are awesome.
(コラ半島掘削抗:何が起きているのかを知るために、マントルへと地球の外殻を掘削しようとしたソビエトの計画。ロシア人は凄いです。)Mysterious door which James Cameron build his sub to reach and open. He will not say what the found within.
(ジェームズ・キャメロンがが作った彼の潜水艦が到達し、開けたミステリアスなドア。何を見つけたか、彼は言わないだろう。)Alt-text: James Cameron has said that he didn't know its song would be so beautiful. He didn't close the door in time. He's sorry.
(ジェームズ・キャメロンは、彼がその歌がどれほど美しいかを知らないと言った。彼は、時間内にドアを閉めなかった。彼は気の毒だった。)
映画監督のジェームス・キャメロンがマリアナ海溝、チャレンジャー海淵の世界最深地点に到達したニュースに応え、描かれた、巨大な画像のコミックです。海は深く、そして、奥深い。
6位: Calendar of Meaningful Dates(意味深な日のカレンダー)
Calendar of Meaningful Dates(意味深な日のカレンダー)
Calendar of Meaningful Dates
(意味深な日のカレンダー)Each date's size represents how often it is referred to by name (e.g. "october 17th") in English-language books since 2000
(2000年以降、英語の書籍の中で名前が引用されている(例:「october 17th」)頻度をそれぞれの日付のサイズは意味します。)
(Source: Google ngrams corpus)
(参照元:Google ngrams corpus)Alt-text: In months other than September, the 11th is mentioned substantially less often than any other date. It's been that way since long before 9/11 and I have no idea why.
(9月以外の月では、11日は、他の日付に比べ、明らかに引用されていません。それは、9/11のかなり前からです。なぜだか僕にはよく分かりません。)
Google社がスキャンした書籍500万冊をもとに構築された、5000億語からなるデータベース「Google Ngram Viewer」で調べた、2000年以降の日付の引用頻度を表すカレンダー。コミックで自らの発想を表現するために、時間を掛け、綿密に調べ上げるその姿勢に頭が下がります。
5位: Star Ratings(星のランク付け)
Star Ratings(星のランク付け)
[Understanding online star ratings]
(オンライン上の星の評価に対する見解)★5つ:[Has only one review]
(一人のみの評価)
★4つ半:Excellent
(素晴らしい)
★4つ:OK
(可)
★3つ半?★1つ:Crap
(クソ)Alt-text: I got lost and wandered into the world's creepiest cemetery, where the headstones just had names and star ratings. Freaked me out. When I got home I tried to leave the cemetery a bad review on Yelp, but as my hand hovered over the 'one star' button I felt this distant chill ...
(僕は道に迷い、墓石に名前と星の格付けのみを持つ、世界一奇妙な墓地を彷徨いました。ビクビクしながら。家に戻る時、墓地に口コミサイト上で書かれた悪い評価を残そうとしました。でも、僕の手は「星一つ」ボタンで静止し、この遠くからの冷気を感じました...)
星を使った5段階の評価に対する鋭い洞察。簡潔でコミック的な表現が絶妙です。
4位: The Universal Label(ユニバーサル・ラベル)
The Universal Label(ユニバーサル・ラベル)
Ingredients:
Hydrogen, Time
(成分: 水素、時間)Alt-text: Works for any grocery or non-grocery. Even thyme is just H and time.
(全ての食品店もしくは非食品店で有効です。タイムさえも、Hとtimeで構成されます。)
これをコミックと呼ぶかは甚だ疑問な感じもしますが、こんなシンプルな表現もXKCDの魅力のひとつです。
3位: 1000 Comics(1000コミック)
1000 Comics(1000コミック)
女: Woooo!
(うぉーーー!)男: Wow- Just 24 to go until a big round-number milestone!
(うぉ!切りのいいマイルストーンの数まで、あと24!)Alt-text: Thank you for making me feel less alone.
(「僕は孤独じゃない」と感じさせてくれて、みんな、ありがとう。)
今年は、XKCDにとって記念すべきこんな出来事もありました。XKCD1000話目のコミックです。
2位: Umwelt(環世界)
日本、Google chrome
日本、Internet Explorer / Safari
日本、Firefox
Umwelt(環世界)
Alt-text: Umwelt is the idea that because their senses pick up on different things, different animals in the same ecosystem actually live in very different worlds. Everything about you shapes the world you inhabit--from your ideology to your glasses prescription to your web browser.
(「環世界」とは、それらの感覚を別物と理解し、同じ生体系の異なる動物は、全くかけ離れた世界を生きていると言う考え。そして、君に関係する全ての物は、「君が居る世界」を形作っている。あなたのイデオロギーからメガネの処方箋へWebブラウザへと。)
閲覧している地域と使用ブラウザやOSの組合せによって、何通りものコミックを見ることが出来る実験的なコミックです。数え切れないほどのパターンのコミックを別々に用意し、それぞれの使用環境に向けて発信しています。これぞ他には真似できないXKCDワールド。
以下、日本以外の環境で配信されているいくつかのコミック。まだまだ数多くのバージョンが存在しているようです。
アメリカ、Firefox
アメリカ、Safari / Internet Explorer
アメリカ、Chrome
1位: Click and Drag(クリックとドラッグ)
Click and Drag(クリックとドラッグ)
From the stories
(幾つかの物語から、)I expected the world to be sad
(世界は悲しい物だと思っていた。)And it was
(すると、そうなった。)And I expect it
(そして、)To be wonderful.
(世界は素晴らしいと思う事にすると。)It was.
(そうなる。)I just didn't expect it to be so big.
(こんなにも世界が大きいとは思ってなかった。)Alt-text: Click and drag.
(クリックとドラッグ)
文句なしの2012年度No.1コミック。4コマ目(リンク先の下部の大きいコマ)をクリックしながらドラッグを行うことにより、新しいエリアが次々と現れる広大なコミック空間になっています。このコミック世界は広大かつ奥深いです。ぜひ、上記のリンク先で果てしないXKCD世界への探検を体験して下さい。
XKCDを解説するexplain xkcd wikiによると、この広大な空間は、2048x2048ピクセルを1エリアとして、横81エリア、縦32エリア、合計2592のエリアから構成されているそうです。いくらなんでもやり過ぎです。(もちろん良い意味で。)
XKCD作者が書いた本
XKCDの作者、ランドール マンロー氏の著作本『ホワット・イフ?:野球のボールを光速で投げたらどうなるか』を紹介します。ウェブサイトに投稿された科学のおかしな質問を、XKCDばりの捻くれ方で回答し、それらを本にまとめたものです。こちらも面白いので是非に。
評価: 4.0点
ランドール・ マンロー,吉田 三知世 2015-06-24
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