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私感で選ぶ、翻訳したXKCDコミックのベスト10話(2011年)

 こんにちは。皆さんお元気ですか。2012年ももう少しで終わりですね。いつもこのブログを見ていただき、ありがとうございます。

 僕がこのブログでXKCDの日本語訳を始めて早4年。今回の記事は、これまでに翻訳してきたXKCDの中から、特に印象に残ったコミックを選りすぐり、ベスト10話を取りまとめて掲載します。

 本家XKCDは以下よりどうぞ。

 前回のまとめ記事(これまでに翻訳したXKCDのベスト10話(2009年?2010年))から既に2年が経ち、今回は、2011年?2012年の2年分を振り返る予定だったのですが、選ぶ期間の幅が広すぎて、とても10話では収まり切れなくなったため、とりあえず2011年分の1年分を紹介することにしました。2012年分は改めて別記事でUPする事にします。

 選考範囲は、#841?#997です。

 このランキングの選考基準はおおよそ以下の通りですが、基本的には僕の私感です。

  • 奥深いもの
  • 単純に笑えるもの
  • XKCDっぽいなぁとしみじみ感じるもの
  • ツイート数、もしくは、はてなブックマーク数が多いもの

 日本ではXKCDが話題にあがることはあまりありませんが、この機会に少しでもXKCDの名前や内容を知っていただければ幸いです。また、僕がネット回線と繋がっている限り、今後もXKCD翻訳は続けていきますので、末永くお付き合いのほどよろしくお願い致します。(2012年版に続く...と思う)

10位: Mac/PC(マックとPC)

mac_pc.png
©xkcd.com Creative Commons Attribution-NonCommercial 2.5 License

Mac/PC(マックとPC)

男1: I'm a Mac.
 (僕はマック。)

男2: And I'm a PC.
 (そして、僕はPC。)

男1,2: And since you do everything through a browser now, we're pretty indistinguishable.
 (全ての作業がブラウザーで行われるようになった時から、僕らはかなり見分けがつかなくなった。)

Alt-text: It's fun to watch browsers fumblingly recapitulate the history of window management. Someday we'll have xmonad as a Firefox extension.
 (ブラウザが、ウィンドウ管理の歴史を不器用に再現していく様を見るのは楽しい。いつか、僕らはFirefox拡張として、xmonadを獲得するだろう。)

 気付きそうで気づかない鋭い洞察が得られるのもこのXKCDの特徴です。WindowsもMacもLinuxもOS立ち上げ時の画面をすっ飛ばして、ブラウザからいきなり立ち上がるような仕様であれば、ほとんど見分けがつかなくなります。将来的にOSのシェアを制するのは、実はChromeOSなのかも。

9位: Extended Mind(思考の延長)

Extended Mind(思考の延長)

(Wikipediaサーバが正常な時)

[Message with Mike1979]
 (「マイク1979」とのメッセージ)

Mike1979: I replaced my spark plugs and now my car is running weird.
 (マイク1979:スパークプラグを交換したんだけど、車が変な動きをするんだ。)

Me: The spark gap might be off.
 (僕:スパークギャップが離れているのかも。)

Me: You can check with a feeler gauge.
 (僕:隙間ゲージで確認してみて。)

Mike1979: What should the gap be?
 (マイク1979:どのくらいのギャップが必要なの?)

Me: Usually between 0.035" and 0.070".
 (僕:通常だと、0.035インチから0.070インチの間だよ。)

Me: But it depends on the engine.
 (でも、それは、エンジンによる。)

(Wikipediaサーバがダウンした時)

Mike 1979: I replaced my spark plugs and now my car is running weird.
 (マイク1979:スパークプラグを交換したんだけど、車が変な動きをするんだ。)

Me: What is a spark plug???
 (僕:スパークプラグって何???)

Me: Help.
 (僕:助けて。)

Me: What is a car??
 (僕:車って、何だっけ??)

[When wikipedia has a server outage, my apparent IQ drops by about 30 points.]
 (Wikipediaのサーバー停止が発生すると、僕のIQは大よそ30ポイント低下します。)

Alt-text: Wikipedia trivia: if you take any article, click on the first link in the article text not in parentheses or italics, and then repeat, you will eventually end up at "Philosophy".
 (Wikipediaにまつわるトリビア:括弧やイタリック体ではない、記事テキスト内の最初のリンクをクリックし、それを繰り返すと、最終的に「哲学」の記事になってしまいます。)

 XKCD作者のランダルマンローさんは、Wikipediaをこよなく愛しており、Wikipediaをネタにしたコミックはかなり多いです。これはその中でも秀逸な作品。

8位: Eternal Flame(永遠の炎)

eternal_flame.gif

Eternal Flame(永遠の炎)

Alt-text: There's always the hope that if you sit and watch for long enough, the beachball will vanish and the thing it interrupted will return.
 (座って、相当長い時間見続けていれば、このビーチボールは消え、中断した作業が戻ってくると言う望みを常に持っています。)

 2011年10月5日に惜しくも亡くなられたスティーブ・ジョブズを追悼するコミック。単なる追悼と言うだけでなく、Gifアニメを用いて、奥深いコミックへと見事に昇華させています。

7位: Password Strength(パスワード強度)

password_strength.png

Password Strength(パスワード強度)

Uncommon (non-gibberish) base word
 (一般的ではない(訳のわからない)単語を元にしたパスワード)

[Tr0ub4dor&3]

~28 bits of entropy
 (おおよそ28ビットの無秩序さ)

228 = 3 days at 1000 guesses/sec
 (2の28乗 = 1000テスト/秒で3日間)

Difficulty to guess: Easy
 (推測難易度:簡単)

男: Was it trombone? No, troubador. And one of the Os was a zero?
 (「trombone」だったっけ。「troubador」だったっけ?Oだっけ、0だっけ?)

And there was some symbol...
 (入れ込んだ記号ってなんだっけ...)

Difficulty to remenber: Hard
 (記憶難易度:難しい)

[Correct horse battery staple]
 (正しい、馬、バッテリー、ステープル)

Four random common words
 (4つのランダムな一般的単語)

~44 bits of entropy
 (おおよそ44ビットの無秩序さ)

244 = 550 years at 1000 guesses/sec
 (2の44乗 = 1000テスト/秒で550年)

Difficulty to guess: Hard
 (推測難易度:難しい)

horse: That's a battery staple.
 (馬:バッテリのホチキス)

男: Correct!
 (正解!)

Difficulty to remember: You've already memorized it
 (記憶難易度:既に記憶されている)

[Through 20 years of effort, we've successfully trained everyone to use passwords that are hard for humans to remember, but easy for computers to guess.]
 (20年の努力を通じ、人間が記憶出来ず、コンピューターが推測しやすいパスワードを使うために、僕らは皆を上手に訓練してきました。)

Alt-text: To anyone who understands information theory and security and is in an infuriating argument with someone who does not (possibly involving mixed case), I sincerely apologize.
 (情報理論とセキュリティを理解し、かつ、それをしない(場合によっては、双方のケースを含む)誰かとの苛立たしい議論の中にある誰かに向け、僕は心からお詫びします。)

 覚えやすく、かつ、解読しづらいパスワードの生成方法に関する作者からの提案。作者が思いついた発見や提案をそのまま書く系のネタはそこそこ多いです。上手く使えば日本語(ローマ字)でも適用可能だと思います。

6位: Permanence(永続性)

permanence.png

Permanence(永続性)

[ [!] Configure the network]
 (ネットワーク設定)

[Please enter the hostname for the system.]
 (このシステムのホスト名を入力してください。)

[Hostname:_____________]
 (ホスト名:_____)

<Go back>
 (戻る)

女: You've been staring at that screen a while.
 (その画面のまま、ずっと見つめているわね。)

男: Picking a good server name is important.
 (良いサーバー名を選ぶことは、とても重要な事なんだ。)

女: And yet you settled on "caroline" for our daughter in like 15 seconds.
 (それに比べて、私達の娘の名前は、たった15秒で「キャロライン」に決めたでしょ。)

男: But this is a server.
 (でも、これはサーバーだ。)

Besides, I had to - you were trying to name her "epidural"
 (そろそろ、決めなくちゃ・・。キミは、娘に「epidural(硬膜外麻酔)」って名付けようとしたじゃないか。)

女: Those were good drugs.
 (あれは、良い薬だったし。)

Alt-text: This hostname is going in dozens of remote config files. Changing a kid's name is comparatively easy!
 (このホスト名は、何十ものリモート設定ファイルに書かれる。 子供の名前を変えるなんて、それに比べてば簡単だ!)

 子供の名づけよりも、ホストの名づけの方がよっぽど重要と言う男のコミック。極端だけど、気持ちは少し分かります。物理系とIT技術系がこのコミックでの一番多いテーマ。

5位: Depth Perception(奥行き感覚)

depth_perception.png

Depth Perception(奥行き感覚)

[I've always had trouble with the size of clouds.]
 (僕は雲の大きさを掴むのに、いつも苦労していた。)

[I know they're huge. I can see their shapes.]
 (雲が巨大である事は知ってる。雲の形を眺める事は出来るんだ。)

[But I don't really see them as objects on the same scale as tree and buildings.]
 (しかし、雲を木や建物と同じスケールの物で見ることはまずない。)

[They're a backdrop.]
 (雲は背景だ。)

[Stars are the same way.]
 (星も同じ事。)

I know they're scattereded through an endless ocean, but my gut insists they're a painting on a domed ceiling.
 (星が果てしない海の向こうに散らばっている事を知っている。しかし、僕の体はそれらが半球の形をした天井の絵であると主張してくる。)

[If I try hard enough, I get a glimmer of depth, a dizzying sense of space, but then everything snaps back.]
 (僕は、一生懸命になり、深さの微かな光(めまいがするような空間感覚)を感じようとするが、全ては元へと戻ってしまう。)

[So one summer afternoon]
 (そこで、ある夏の昼下がり、)

[I set up two hd webcams hundreds of feet apart, pointed them at the sky, and fed one stream to each of my eyes.]
 (数百フィートの間隔で、2つのHDカメラを空に向け設置し、そして、僕の目それぞれの視線に映像を投影してみた。)

[The parallax expanded my depth perception by a thousand times, and I stood in my living room at the bottom on an abyss]
 (その視差により、僕の奥行き間隔は1000倍に拡大した。そして、僕は深い谷の底にあるリビングループに立っていた。)

[Watching mountains drift by.]
 (漂う山々を見ながら。)

Alt-text: I've looked at clouds from both sides now.
 (僕はその時、両側から雲を見つめた。)

 これはやってみたいと感じる、実験系ネタの代表。

4位: Heaven(天国)

heaven.png

Heaven(天国)

alt-text: If you've never had sex, this is what it feels like. Complete with the brief feeling of satisfaction, followed by ennui, followed by getting bored and trying to make it happen again.
 (もし、セックスをしたことがないなら、これがそんな感じです。倦怠の後に、退屈が来て、もう一度、起こさせようとする事により、呆気無い満足感を伴い、完結します。)

 解説無しでもすぐに「くすっ」と笑えるネタ。こういう系は個人的に大好きです。(ほとんど翻訳しなくても良いので、記事にするのが楽だからって言う話もある。)

 このコミックは、過去に掲載された以下の「Hell」との対比になってます。

3位: Mimic Octopus(ミミック・オクトパス)

mimic_octopus.png

Mimic Octopus(ミミック・オクトパス)

[Southeast Asian Sea Life]
 (東南アジアにおける海洋生物の)
[Identification Chart]
 (分類チャート)

Alt-text: Even if the dictionaries are starting to give in, I refuse to accept 'octopi' as a word mainly because--I'm not making this up--there's a really satisfying climactic scene in the Orson Scott Card horror novel 'Lost Boys' which hinges on it being an incorrect pluralization.
 (たとえ辞書がギブアップし始めたとしても、僕は、「octopi」を言葉として認めることが出来ない。なぜなら、(これは作り話ではない)オースン・スコット・カードのホラー小説「Lost Boys」の中でそれを誤った複数形と決定づける、本当に満足の行くクライマックスシーンがあるから。)

 図解的なコミックの代表格。下に行くほど、どんどんあり得ない感じになっていきます。これでもかと言うくらいボケまくるのが素敵。

2位: Probability(可能性)

probability.png

Probability(可能性)

[5years 81%]
 (5年後 81%)

[10years 77%]
 (10年後 77%)

You know, probability used to be my favorite branch of math
 (あのさ、「可能性」って、以前は僕の得意な数学の分野だったんだ。)

Because it had so many real-life applications.
 (だって、人生で適用出来る場所が多かったから。)

Alt-text: My normal approach is useless here, too.
 (僕のいつものアプローチは、ここでもなんの訳にも立たない。)

 作者の身近で起こった家族の病気(妻の乳がん)についてのコミック。2011年は乳がんに関するネタが多い年でした。XKCDはドライな科学全般をネタにする一方で、作者の人生に対する苦悩なども描かれます。そういう意味では、XKCDは作者ランダルマンローさんの人生そのものと言えます。

1位: Good Code(良いコード)

good_code.png

Good Code(良いコード)

Alt-text: You can either hang out in the Android Loop or the HURD loop.
 (君は、アンドロイドループかGNU HURDループの中をぐるぐる回ります。)

 フローチャート系のコミック。僕自身、大変素晴らしいと感じたので、直接、翻訳した日本語を書き込んで見ました。はてブやツイート的にも反応が2011年で一番大きかったです。原作のコミックは上のリンクを参照してください。

XKCD作者が書いた本

 XKCDの作者、ランドール マンロー氏の著作本『ホワット・イフ?:野球のボールを光速で投げたらどうなるか』を紹介します。ウェブサイトに投稿された科学のおかしな質問を、XKCDばりの捻くれ方で回答し、それらを本にまとめたものです。こちらも面白いので是非に。

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